英国アンティーク、鉱石ラジオが入っていた木箱。
英国の大きなアンティークセンターで手に入れた木箱。
正直、初めはなんのためのものかよくわからなかったのですが、書かれているロゴから読み解くことが出来ました。
まず、正面についている丸いマーク。「BBC」を中心に「Type approved by the postmaster general」の文字をみることができます。
これは「BBC承認スタンプ」と呼ばれるもの。
皆様ご存じ、英国の第一放送である「BBC=British Broadcasting Company」。それはラジオ放送と共に始まりました。軽く歴史をご紹介いたしましょう。
英国においてラジオ放送自体は1920年からありましたが、本格的に始まったのはBBC英国放送協会(British Broadcasting Corporation)が1922年に設立された時からとされています。
1922年10月18日、英国郵政庁が主導して、マルコーニ社、メトロポリタン・ヴィッカーズ社、無線通信社(Radio Communication Company)、ウェスタン・エレクトリック、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー、英トムソン・ヒューストン社の6社が中心に出資した英国放送会社(British Broadcasting Company)が設立。
当初、放送はラジオ受信機の販売によって資金提供され、スポンサー付きの番組を放送していました。郵便局長官は、使用する機器が「郵便局長官によって承認された型式」であり、BBCのロゴが付いているという条件を放送受信ライセンスに適用。つまり、この「BBCの承認スタンプ」がついているラジオで放送を聞くべき、ということとなります。
一方で、現在の英国においてはこの制度はすでになく、国民はTVを見るならば「TVライセンス」とよばれるものを(ほぼ)強制的に支払う仕組みとなっています。日本のNHKの受信料と少し似ていますが、英国のTVライセンスは払わないと恐ろしい罰金が科せられる、という厳しさです。ちなみにテレビ放送の開始は1936年。
1946年には先述のTVライセンスが始まっておりますので、「BBC承認スタンプ」はおそらく1922年から1946年の間に存在したものと思われます。
そして、このタイプの木箱に入っていたのは「Crystal Radio/鉱石ラジオ」でした。
鉱石ラジオとは、回路の一部に鉱物の結晶を用いた受信機であり、アンテナから拾った微弱な電波のエネルギーをそのまま利用してイヤフォンを鳴らす仕組みの物。 電源を使わず、電波から供給される電気だけで作動するな端末です。
蓋には以下の文字がみられます。(一部読み取れませんでした)
SCOTTISH W??? TELEPHONE SURPLIES LTD
THE THISTLE
ABERDEEN
「ABERDEEN/アバディーン」スコットランド北東部にある港湾都市。「THE THISTLE/あざみ」は恐らく会社名でしょう。残念ながら詳細は不明ですが、スコットランド、アバディーンにあった電話用品の会社が製作・販売していた鉱石ラジオだったと思われます。
既にラジオは取り払われ、単なる物入となっております。深い色味をもつ木の材はマホガニーで、なかなかの高級品だったのではないでしょうか。
アンティークのピアノも高級品はマホガニーが使われていることがあります。重低音がよく響くとされていますので、ラジオのような機械にはぴったりの材なのかもしれません。
英国の放送黎明期と共にあった鉱石ラジオの箱を、小物入れに使う。
かつて電波を受け止めていたやや大きめの直方体は存在感に溢れ、貴方の書斎のまたとない小家具となってくれることでしょう。
◆England
◆推定製造年代:c.1922年-1946年頃
◆素材:マホガニー
◆サイズ(ベース):幅約24.1cm 奥行き約18.7cm
◆サイズ(本体):幅約22.2cm 奥行き約17cm 全体高さ約18.3cm
◆サイズ(蓋を除く内寸全体):約22×15.3cm 深さ約13.1cm
(12.6×15.3cm 及び7×15.3cmの二つに分かれています。仕切りは外せません)
◆重量:956g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、あたり、変色、補修跡、シール跡等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*蓋の留め金具はきちんと動作します。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A