英国アンティーク、チャド・バレー社による地球儀。
チャド・バレー/CHAD VALLEYとは、かつてイングランドを代表したおもちゃメーカー。
もともとは19世紀にイングランド・バーミンガムにおいてAnthony Bunn Johnsonが始めた印刷事業が始まり。息子の代にハーボーン/Harborneの郊外に移転し、その場所が「チャド・バレー」と呼ばれていた地域だったことから、この名前となりました。
第一次大戦前にはおもちゃ事業を始め、テディベアやTinToy(ブリキのおもちゃ)などを生産。1938年にはロイヤルワラントも手にいれています。第二次大戦時には、おもちゃとは全く違うもの(武器ケースや病院用ベッド、その他部品など)を生産しましたが、1945年にはおもちゃ事業を再開。
1960年代までには7つの工場、1000人を超える人員をもつリーディング・カンパニーに成長します。
しかし、その後の不況により1978年にはパリトイに買収され、その後、アメリカ資本系のケナー・パーカーに買収。商標名は1988年にウールワースに売却。ウールワースは東アジアで生産したチャド・ヴァレーの新しいシリーズを発売しています。
今回ご紹介する地球儀は、そのチャド・バレー社によるもの。
比較的簡易なつくりのブリキ製。インテリア用、というよりは、子供の学習用と思われます。
製造年代はいつ頃でしょうか。前述の歴史から、第二次大戦中ではないだろうとは思いながら、地球儀の詳細を調べてみました。国境や国名は、その時代を切り取る雄弁な証拠なのです。
まず、ヨーロッパには今は無き「ユーゴスラビア」があります。これで、1929年から2003年の間と絞り込めました。
そして、アジアには「SHAM」文字。
タイにおいて「THAILAND」の国名が使われだしたのは1939年6月から。それまでは「SHAM」という名前でしたので、この地球儀は変更する前作られたと思われます。
SHAMの隣には、「FR.INDO CHINA」の文字も見られ、これは「French Indochina/フランス領インドシナ」のことであり、1887年から1954年まで存在していました。
そのお隣の「SARAWAK」とは1841年から1946年まで存在した「サラワク王国」という白人王国の事でしょう。
また、支柱には MADE IN ENGLAND の文字とともに、チャドバレー社のロイヤルワラントが記されています。
以上のことから、この地球儀の製作年はチャドバレー社がロイヤルワラントを手に入れた1938年から、「SHAM」という国名が無くなる1939年まで、といえると思われます。
つまり、第二次大戦の直前。
古い時代の地球儀を眺めれば、今は無き王国を見つけることが出来ます。誰がどう作り、どんな形で無くなったのか。その後はどうなったのか・・・。
そんなことを知るひとつひとつが、これからの貴方の日々を豊かに彩ると思うのですが、いかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1938-1939年頃
◆素材:金属(ブリキ)
◆サイズ:土台直径約11cm 高さ約19.8cm
◆重量:234g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、一部に凹みなどがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A