英国アンティーク、携帯用インク壺。
長く私たちと共にある筆記具の歴史。
昔はつけペン、近年になれば万年筆がその代表格でしょうか。
万年筆自体は古くから色々なタイプが試みられてきたようですが、1883年世界で初めて毛細管現象を応用した万年筆を発明したウォーターマンが「万年筆の祖」と称されています。
1889年にはパーカーも万年筆を発売しており、19世紀末から20世紀にかけてどんどん万年筆の性能は改良されていくことになります。
ただ、19世紀後半ヴィクトリア時代、万年筆はあったといえどもまだまだ高価で珍しい存在であり、多くの人たちは従来の「インク+つけペン」を使用していました。
今回ご紹介するのは、その時代に活躍していた「Portable Inkwell/携帯用インク壺」です。
手に入れたのは英国中部の大きな競馬場で行われていたフェア。屋内のストール、筆記具を専門とする上品なお爺様からでした。
私たちがこれに興味を示すと、小さな宝物を手にするように、繊細な細い指で開けて見せてくれたことを覚えています。
丸みを帯びた直方体で、ダークブラウンのレザーが貼られており、蓋部分には金の箔押しで「Ink」の文字。手前のボタンをぎゅっと押しつつ、蓋を持ち上げれば金属蓋が現れます。更に手前の爪を引けば、金属蓋はパカッと開き、小さな小さなガラスのインク瓶が現れる、という仕組み。
よく見れば蓋の裏側にはゴムが仕込まれていて、インク瓶の蓋となり液漏れを防いでおります。二重の蓋をつけるところに、液漏れをしっかり防ごうという心意気が感じられます。
ディーラーのお爺様の言葉と私の経験と合わせまして、製造年代は1870年から1890年代頃、英国ヴィクトリアンと推測いたします。
試しに液体をいれて振ったり逆さまにしたりしてみましたが、今のところは液漏れは確認できませんでした。現代日本ではインク壺としてのご使用はもちろん素敵ですが、アロマオイルなど入れてみても良いかと思います。
大英帝国の繁栄期、ヴィクトリアン。特に後半は中産階級が潤い、英国、特にロンドンはヨーロッパのなかでも文化の爛熟期でありました。そんな時代に英国紳士がポケットに忍ばせていたであろう、手のひらに納まる小粋なケース。
そこからから取り出す液体は、それだけで何か特別な力を持っているような気になってしまいますが、いかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1870-1890年代頃
◆素材:金属、ガラス、革
◆サイズ:約4.6×2.92cm 高さ約3cm
◆重量:42g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*外側ケースを開ける際は、手前のボタンを押しつつ、蓋を開いてください。
*内側ケースは手前の爪を押すと、勢いよくパカッと開きます。
*外側、内側ともに閉まるときは「カチン」と安定して閉まります。
*外蓋は開けたまま安定している時もありますが、自然と閉まってきてしまう時もあります。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A