英国アンティーク、スタンホープ付1908年仏英博覧会記念パイプ。
なかなか興味深い逸品を手に入れました。
フォルムとしては高さ約14cmのシャンパンボトル。
ミュズレ(針金製の栓押さえ)も表現されており、これだけでもなかなか雰囲気あふれる佇まいとなっています。
中央部からネジ式で外れるようになっており、中にはパイプのステムが入っています。
ボトム部分側面の穴にステムを差し込めば、パイプの出来上がり・・・となっております。
そして、面白いのはもう一つ。
シャンパンボトルの栓の部分には直径わずか2-3mm程度の穴が開いています。
栓の上から光に向けて覗き込めば、そこには建物と以下の文字をみることができます。
Franco British Exhibition London 1908
ROYAL PAVILION
(全部は読みにくいです)
「Franco British Exhibition/仏英博覧会」とは、ロンドン、ロイヤルパビリオンで1908年5月14日から10月31日まで行われた博覧会のこと。
800万人が来場したといわれ、大変な盛況だったといわれています。どうやらこのパイプハは、その時のお土産物の様です。
そして、この覗く仕組みは通称「スタンホープ」といいます。
まず、「スタンホープレンズ/Stanhope Lens(もしくはスタンホープ)」とは、18世紀後半に英国の化学者、Charles Stanhope伯爵が発明した両面共に凸形状の拡大鏡のこと。
後にフランス人写真家の Rene Dagron が、自身が使い易いよう改良したものが一般的になったと言われています。
このスタンホープは拡大率が高いため、ごくごく小さな写真(マイクロフォトグラフ)も拡大してみることが可能でした。
そのため、たとえばロザリオ等の中心にスタンホープを組み込み、なかにマイクロフォトグラフを仕込んで、各地のお土産物として販売することが、1870-1910年頃まで大層流行しました。
レンズ自体が2ミリから3ミリとかなり小さい上に、マイクロフォトグラフを撮影するのも大変な作業だったとか。
ただ、小さいが故に色々なアイテムに組み込みやすく、スタンホープコレクターもいるというこだわりの仕掛けとなっています。
フランスを象徴するようなシャンパンボトルのフォルム。
英国人が発明しフランス人が改良した、スタンホープの仕掛けに閉じ込められたロンドンのロイヤルパビリオン。
まさに英国とフランスを象徴するような仕掛けパイプは、お土産物にうってつけだったことでしょう。
このパイプは、愛煙家の方はもちろん、光学機器コレクターの方にもなかなか興味深いアイテムなのではないでしょうか。
20世紀が始まった頃。
英国とフランスが各々の技術を競うように行った博覧会の熱狂のかけらを閉じ込めたような、アンティークアイテムです。
◆England(製造はフランスかもしれません)
◆推定製造年代:c.1908年
◆素材:木、金属、他
◆サイズ(ボトルになったとき):直径約2.6cm 高さ約14cm
◆サイズ(パイプになったとき):全長約12.3cm 高さ約4.8cm
◆重量:38g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、材のワレや変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*恐らく未使用と思われます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A