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Wednesday

銀と銅の味わい深い同居 /Antique Old Sheffield Plate Candle Snuffer Tray

英国アンティーク、銀メッキのスナッファートレイ。



















「Candle Snuffer/キャンドルスナッファー」とは蝋燭火消しのこと。


キャンドルスナッファーには大きく2種類あります。

ひとつは細い棒の先に釣り鐘状のものがついており、炎にカパッとかぶせて火を消すもの。

もうひとつはハサミ型のもの。
片刃で片側は箱のようになっており、中には短い刃があり、キャンドル上部を削りながら閉じて火を消すしくみ。
こちらのほうが仕組みが複雑ですが、次に使うときの見た目が良い状態で保てるという利点があるようです。


さて、当然ですが使用したスナッファーには煤や蝋が付着し熱くなるもの。
それを置いておくためのトレイがスナッファートレイです。

材は金属が主体で、高級品は銀、やや普及品は銀メッキ、そして庶民向けには真鍮やピューターなどがありました。



今回ご紹介するスナッファートレイはこの中でも銀メッキのもの。
そして、銀メッキの中でも「Old Sheffield Plate/オールドシェフィールドプレート」と呼ばれるものです
オールドシェフィールドプレートとは、1742年にイングランドのシェフィールドにおいて発明された銀メッキの技法のこと。
地金は銅で、そこに薄い銀の板を熱しながら圧着するもので、高価である銀無垢の品物に対し安価に提供されたことから、当時の中産階級が大いに喜び大流行したといいます。そして、シェフィールドを金属加工の町へと変貌させていく大きな力となった加工でもあります。


なお、のちの1840年代には電気による銀メッキ(Electro Plate Nickel Silver/EPNS)が発明され、さらに銀メッキは安価なものとなってゆきます。

ただし、EPNSの銀メッキは地金がニッケルを中心とした合金ですので、銀部分が剥げていくと黒ずんだ地肌がでてくることとなります。一方でオールドシェフィールドプレートは地金が銅ですので、銀部分が剥がれれば、見えてくるのは銅の色。




・・・ということで、今回ご紹介するスナッファートレイは、オールドシェフィールドプレートとなっております。


長く長く使われてきたため、トレイのエングレーヴィングからはが銅の色が覗き、端部のふくらみ部分も銀がだいぶ剥げてきております。
一方でエッジに施されたアカンサスの葉とホタテ貝の意匠部分はまだまだ銀が残っており、全体として銀と銅が味わい深く同居しているのが現状。
個人的見解ではございますが、ピカピカの銀色よりも、このような感じの方が遥かに美しいような気がします。


底面の一部には、小さなマークが刻印されています。
ひとつは羽を広げた鳥のようなマーク、その脇にはもう米粒より小さな何かのマーク。

この鳥のマークは、シェフィールドのシルバースミス、John Waterhouse(1836年頃)がオールドシェフィールドプレートに使用していたマークです。


このことから、作られた時代はおそらく1830年代後半、ジョージアンの終わりからヴィクトリアンの初めころ。
まだEPNSの銀メッキは発明されておらず、最高級の銀無垢のトレイはちょっと手が出ないけど、シェフィールドの銀メッキなら手に入れられる・・という中産階級のお宅で使われてきたのではないでしょうか。





現代の生活で日々蝋燭を灯す方は少ないかと思いますが、ペントレイや時計などの小物置きにご使用いただければ、日々の暮らしを豊かに彩ってくれそう。
ショップでのマネートレイとしてもおすすめですし、もちろん画像のようにキャンドルスナッファーを置いていただければピタリと決まります。


遥かジョージアンから届いたスナッファートレイ。是非手に入れてみてはいかがでしょうか。


◆England
◆推定製造年代:c.1830-1840年代頃
◆素材:銅・銀メッキ
◆サイズ:幅約11.1cm 奥行き約24.9cm 深さ約1.8cm
◆重量:243g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリや歪み、錆や変色、銀メッキの剥がれ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*現代日本の一般的なボールペン(全長約15cm)は問題なくおさまります。画像をご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques
by d+A