英国王室属領、ジャージー島のシンボルをもつ小さなカードケース。
ジャージー。
この言葉からなにを連想されますか?
伸縮性のある服地のこと?
うす茶色の体毛と優しい眼をした牛のこと?
どちらも正解で、どちらも英国最南端の島に由来しています。
伸縮性のある服地の「ジャージー」は、ジャージー島で古くから用いられた漁民用衣類の布地に由来しています。
またジャージー牛とはジャージー島原産の小型の乳牛のこと。乳汁は脂肪が多くバター製造に適しており、現在はホルスタイン程ではありませんが世界中で広く飼われている種類です。
このジャージー島、正式には「ジャージー代官管轄区 /Bailiwick of Jersey」はイギリス海峡のチャンネル諸島のうち、ジャージー島のほかマンキエ諸島やエクレウ諸島などにより構成される英国王室属領のこと。
英国王室属領?
これは日本でいう都道府県的な英国の州(ちょっと違いますけど)のどこにも属さず、さらに「United Kingdom」にも属さない、英国王室の属領として位置づけられた特別な区域のこと。しいて言えば、例えば八丈島が日本には属さないけど天王陛下が直接治めてる、という感覚でしょうか?(違うかもしれません)日本の感覚ではとても説明しきれない立場の区域です。
ここでやや話がそれますが、英国の呼び方(というか区分け?)がいろいろあることはご存知でしょうか。
・イングランド
・スコットランド
・ウェールズ
・北アイルランド
・イングランド、スコットランド、ウェールズがあるブリテン島をさすとき「ブリテン/Britain」もしくは「グレートブリテン」。
・全てを含める時「ユナイテッドキングダム /United Kingdom」。
ちなみに「ユナイテッドキングダム」の正式な国名は日本語では「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」となります。
さらにジブラルタルやバミューダ諸島などの海外領土を含めると「コモンウェルスオブネーションズ/Commonwealth of Nations」。
これは一般的に日本では「イギリス連邦」とよばれています。
例えば、ネッシーがいるネス湖があるのはスコットランドですので「イングランドにあるネス湖」というのは間違い。
例えば、北アイルランドに手紙を出すとき、国名に「グレート・ブリテン」とするのは間違い。
そしてイングランドの人に、フットボールの試合で「スコットランドが勝ってよかったね」などと言おうものなら「ん?関係ないし」という反応が返ってくるのは間違いないでしょう。彼らにとってそれぞれは、ほぼ違う国のような感覚なのです。
外国人からするとなんとも難しく、日本で一般的な「イギリス」がとても不自然なように感じます。
そのため、当店では基本的に日本語で表すときは「英国」としております。
・・・話が長くなりました。
英国の人々が、そんな状態で暮らしているのであれば、たとえジャージー島のような特別な区域があったとしても、問題なく受け入れてしまう・・・ということなのかもしれない、という事が言いたかったのです。
ということでジャージー島。
英国王室の属領で、高度な自治権をもち、独自の議会や当局を持っています。税制も異なりますので、ジャージー島は「タックスヘイブン」としても有名。英国の法律なども及ばず、なんと1813年から自前の通貨すら発行しております。
もちろん英国のポンドも使えますが、ジャージーのお金は英国本土では使用できない、という制限付き。
前段がたいへん長くなりましたが、今回ご紹介するカードケースは、そのジャージー島の紋章が飾られたもの。
表面に細かなストライプが施された金属製で、丁番でぱかりと開くようになっています。
内面のカード押えの部分には「MADE IN ENGLAND」の文字がみられます。
イングランド製ではありますが、おそらくジャージー島のお土産物として売られていたものと思われます。
開け方は、外に出ている爪上の金具を押し込むと、少し隙間があきますので、そこから爪で開けていただく感じです。
(一気にパカッとは開きません)
閉めるときはそのままぐっと蓋を閉じていただくと、ぱちん、と音をたててしっかり閉まります。
内寸はポストイットの小さいサイズ「3.8×5cm」がちょうど入るサイズです。
そのくらいの大きさの厚手の紙を8枚ほど入れて、実際に出し入れをしてみました。
少なくなると出しにくいですが、多めの時は指でぐっと押し出せば紙をうまく繰り出すことができました。
撮影に使用した分を中に入れてお届けいたします。
一般的な名刺サイズの半分以下ではありますが、例えばメモ用紙入れにしたり、その大きさのカードを作ってみるのも面白いかもしれません。
英国の複雑な歴史やお国事情を背景に、さりげなくしたたかに続いている特別な場所、ジャージー島。
その象徴をもつ小さなケースを持って、歴史に想いを馳せるもの一興かもしれません。
◆England
◆推定製造年代:c.1930-1950年代頃
◆素材:金属
◆外寸サイズ:約4.3cm×6.1cm 厚さ約1cm
◆内寸サイズ:3.8×5cmの紙がちょうど入ります。
◆重量:32g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*外側の金具を押しただけでは開きません。押した際にできる隙間から爪先で開けてください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A