英国アンティーク、スランディドノの椅子型クレステッドチャイナ。
Crested China/クレステッドチャイナとは、各地の紋章がついている小さな陶器のことをいいます。
主にヴィクトリア時代後期から1930年代頃までに多く作られました。
ヴィクトリア時代、英国では鉄道網が発達し、一般庶民でも旅行を楽しむことができるようになりました。
そして、旅行に行った先で欲しくなるものは、お土産。
沢山の物を飾り付けるヴィクトリアンの室内装飾において、お土産の装飾小物はまさにうってつけのアイテムだったことでしょう。
そして、庶民が旅行に行けるようになった、といっても、まだまだいけない人は沢山いたでしょうから、行った先が一目でわかるようなものであれば、家に来たゲストにさりげなく自慢ができるというもの。
そんな理由から、小さくて持ち運びが容易、そしてご当地の紋章が描かれているクレステッドチャイナは、たいへんな流行となりました。
今回ご紹介するチャイナの紋章は「Llandudno」のもの。
読み方は「スランディドノ」。
ウェールズ語で「LL」は「ス」と発音するため、このような読み方となっています。
スランディドノはウェールズの北端に位置する、英国人(特に年配の人)の夏の旅行先として人気がある海沿いの町。
ルイス・キャロルによる「不思議の国のアリス(1865年)」のモデルであるアリス・リデル(1852-1934)が幼い頃、家族で休暇を過ごした場所であることでも有名です。
そんなスランディドノの町の紋章/Coat of armsは、中心のシールドに 海を臨む古い「St.Tudno's Church」が描かれ、左右のサポーターにウェールズのドラゴンが配されたもの。
そして、チャイナの底面にはだいぶ読みにくいのですが、メーカー名がみられます。
おそらく、以下のように書かれていると思われます。
Gemma
Czecho-Slovakia
クレステッドチャイナは英国国内の窯元も多く製造していましたが、ヨーロッパの他の国でも製造し、英国へ輸入されていました。
そのうちのひとつがチェコスロバキア(1918-1995)のGemma社です。Gemma社のものは、1918年から1945年頃に製造されたものが多いようです。
チェコスロバキアで製造された、小さな椅子型のクレステッドチャイナ。
20世紀初頭、夏のホリデーにスランディドノを訪れた人たちが、ひと夏の思い出に、と手にする。
家に帰れば客間に飾り、友人が来るたびにスランディドノの土産話に花が咲く・・・。
そんな光景が見えてくるような、アンティークの小品。
はるかウェールズの北端、幼いアリスが過ごした海辺の町の郷愁を感じてみてください。
◆England買付/Czechoslovakia
◆推定製造年代:c.1918-1945年頃
◆素材:陶器
◆サイズ:幅約6cm 奥行き約4cm 高さ約9.5cm
◆重量:103g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、染料のトビ等がみられます。
*脚部の底面エッジにわずかに欠けがみられます。ほとんど気づかないレベルかと思います。
*これ以上広がるような欠けでもございませんので、このままのご紹介としております。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A