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Wednesday

ジョージアンの民具に見惚れる / Antique Steel Candle Snuffer

英国アンティーク、キャンドルスナッファー。



















キャンドルスナッファーとは、ろうそくの火を消すための道具。



厳密にいえば、「Candle Snuffer」とは大きく2つの形状があります。


ひとつめは、ハサミ状で刃の部分に小さな箱がついているもの。
灯のともっているキャンドルの芯をハサミの要領でカットし消し、カットした芯は小箱に入り、次は新しい芯に火を灯すことができる、という仕掛け。
この仕掛けを考案したのは(パテントをとったのは)1776年英国にてChristopher Pinchbeckが行っています。


ふたつめが、長い柄の先にドーム状のものがついているもの。
灯のともっているキャンドルの先にぱかっとかぶせ、酸欠状態にして火を消します。こちらのほうは「candle extinguisher」「douter」などとも呼ばれます。
おそらくこちらのほうが歴史は古く、始まりははっきりしません。


息を吹きかけて消すと、煤がとんだりしがちであるところですが、このような道具を使えばそっと静かに火を消すことができます。
キャンドルが日々の暮らしに根付いている国だからこそ、ある道具といえるでしょう。





さて、今回ご紹介するのは前者のタイプのキャンドルスナッファー。
このタイプは「Candle Wick Snips」や「Candle Trimmer」とも呼ばれます。(「wick」は芯、「snips」は切り取り、の意味)
手に入れたのは英国のアンティークマーケット、ディーラーによれば「ジョージアン」の品物、とのこと。



実はドーム状の被せるタイプのスナッファーは何度か扱ったことがあり、そのたびにキャンドルを消してみて愉しんで(実験して)いるのですが、このタイプを手にするのは初めて。

さて、本当に実用に使えるのでしょうか?
結論から言うと、「火を消すのは簡単、だけど芯を綺麗に切るのは難しい」です。


使っているところを動画でアップいたしましたので、よろしければご覧ください。



構造的に鋏ほど刃は立っておりませんし、鋏ほど刃が重なる部分もありません。
このお品物でいえば、箱部分の前半分くらいしか刃が重ならず、その部分をうまく使ってタイミングよく行えば、芯が切れることもあった・・・と申し上げておきます。
そして一回切れば、周りは蝋がついてしまって、その都度取り除く必要がありました。(私のやり方が下手なのかもしれません)


そして、今回使用したキャンドルは、芯が比較的太い、海外の蜜蝋のキャンドルです。
芯には様々なタイプがありますし、よく考えれば、現代日本のキャンドルと約200年前の英国のキャンドルとでは、だいぶクオリティが違うのではないでしょうか。
ちなみに先端の鋭い部分は、芯を溶けた蝋に押し込んで消したり、逆に芯を引き上げるための形状となっています。
本体に3本脚がついていて、ぱっと持ち上げられるところも嬉しいポイントです。


そして、箱の蓋部分をよく見れば、王冠のようなマークと「PATENT」の文字がみえます。
メーカー名などは特定できませんでしたが、Christopher Pinchbeckがパテントをとったのが1776年ですので、それ以降のお品物あることがわかります。
このようなフォルムの鉄製のキャンドルスナッファーはジョージアンのものが多く、ヴィクトリアンに入ってくるとシルバープレーテッドやシルバーで装飾が施されたものをみるようになります。
以上のことから、推定年代は1780-1830年代頃とさせていただきました。



遥か遠い時代の英国から来た、鋏にも似たろうそく火消し。
用の美を体現したような姿は、明かりに照らされてできる影がまた美しく、思わず見とれてしまいそう。


古い道具の歴史を愉しみつつ(芯を切ることにそれほどこだわらず)キャンドルの火を消すことを、愉しんでいただければ・・・と思います。



◆England
◆推定製造年代:c.1780-1830年代頃
◆素材:鉄
◆サイズ:全長約16.2cm
◆重量:94g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆や変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*動作につきましては説明文をご参照ください。
*構造上、先端は鋭くなっています。お取り扱いの際は十分ご注意ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques
by d+A